学校支援プログラム

不登校ソリューション
学校が抱える不登校の問題を支援する包括的アプローチ
研究所のアプローチは、RTIモデルに基づき、不登校の児童生徒が抱える困難さを包括的に把握するだけでなく、その困難さを引き起こしている可能性がある学校現場の問題(学校風土等)を把握し、データに基づいた具体的対策を提案、実施します。
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いじめソリューション
学校が抱えるいじめ予防や早期介入を支援する包括的アプローチ
世界中のいじめに関する研究や効果があることが科学的に証明されているいじめ予防プログラムを参考に、日本の教育現場における研究、実践の成果に基づいたものであり、予防、早期発見早期支援、介入の3つの段階を包括的に行うRTIモデルを具体化したものになっています。
詳しく見る子どもたちの幸せな子ども時代と、明るい未来のために
皆さんは、20%の子どもが不安や抑うつといったメンタルヘルスの問題を抱え、2%の子どもが毎日、死にたいと思っていることを知っていますか?
子どもたちは、いつも元気いっぱいで意欲に溢れているわけではありません。子どもたちは、私たちがそうであったように、毎日、様々なことに悩み、傷つき、考えながらも、一生懸命生きているのです。
子ども時代の行動やこころの問題が、成人期の問題につながることは既に多くの研究によって証明されています。つまり、子どもへの支援は、子どもの今を守るだけでなく、未来を明るいものにする可能性が高いと言えるでしょう。
子どもたちは、私たち社会の未来でもあります。その未来を守るために、子どもたちが多くの時間を過ごし、学びの場としている学校が、子どもたちの発達を守り育てる場になるようにしていく必要があると考えています。

研究所の学校支援プログラムの特長
科学的であること 〜 実践を支える3つの科学 〜
教育のプロである教師に、もし足りないものがあるとしたら、おそらく“科学”ではないでしょうか。
科学はツールです。子どもたちのために、できることは何でもやりたいという熱意のある先生たちが、もし科学というツールを手に入れたら、さらに自信をつけ、より質の高い教育が実現することになるでしょう。
研究所の提供する科学は、現場で使われることを前提としていることから、一つにこだわることなく、多層的であり、子どもを群で捉え未来を予測するための疫学統計学、多様性に富んだ子どもたちの発達を捉えるための脳機能モデル(脳科学)、実践現場での具体的な指導支援の方法を導き出す行動科学の3つを中心に、構成してわかりやすく提供することにしています。
またOECDの教育レポートを初め、世界中で行われている最先端の研究成果やエビデンスがあるとされている教育プログラムを参考にする他、日本国内における実践研究をリードしていきます。
包括的であること 〜 RTIモデルの採用 〜
今、多くの学校現場が、いじめ被害にあった子ども、問題行動のある子ども、不登校の子どもに対してどのような支援を行うのかについて悩んでいます。しかし、逆説的ではありますが、これらに注目することこそ、問題の解決から遠ざかってしまうのです。
なぜか──
これらは、課題が生じたことを前提としてのアプローチだからです。(いじめ被害への対応、不登校対応は、いじめ被害、不登校が起きなければできません。そのため、課題が生じたことを前提としたアプローチだと捉えることができます)
私たちは、全ての子どもの成功を願っていることから、こうした課題が生じたことへのアプローチはもちろん、予防、早期発見・早期支援を含めた包括的アプローチ、すなわちRTIモデルの実現を目指します。RTIモデルにおける予防は、単に問題を起こさない状態を保つことにとどまらず、集団や個人の強みを活かし育てるというポジティブなアプローチであることに注意が必要です。
ただし、予防のように、いじめなどの問題が起きていない状態を起きていないまま保持すること、まだ起きていないことを予測し、リスクのある児童生徒にアプローチすることは非常に難しいことです。そこで研究所では、科学を用い、様々な科学的調査を行い分析をし、それらを元にアプローチを行うことを提案しています。
学校が主役であること 〜 取り組みやすいパッケージ 〜
科学を使ったアプローチ、データに基づいた取り組み、というと難しいものではないか、と考えるかもしれません。特に様々なことが次々に起こり、授業や生徒指導、保護者対応など、多忙な学校現場では、新たな取り組みを行うことが難しいと考えるかもしれません。
研究所のアプローチは、児童生徒の一人一台端末時代に対応した、デジタル環境での調査と、完全自動化されたフィードバックにより、担任教師や管理職にとってもわかりやすい調査環境を提供します。また、様々な予防、介入支援に教師トレーニングは必須ですが、隙間時間にも取り組める動画での提供を行い、負担なく取り組むことが可能であり、その結果、教師が自らデータを取り扱い、指導支援の主導権を握ることができるようになります。
つまり研究所が提供するプログラムは、いくら具体的で取り組みやすくとも、科学と同様、あくまでもツールでしかありません。児童生徒の指導の責任は、教育のプロであり子どもたちにとって最も身近な大人である、その学校の教師が持つべきことです。研究所は、そうした教師のプロフェッショナルな気持ちを支え、教師一人一人の良さを最大限発揮するために必要な、科学的知識や専門的スキルを提供します。
研究所の提案する学校支援プログラムは、科学的、包括的、具体的なものです。
ただし、即効性を期待することはふさわしくありません。
教育の世界に身を置いている先生方であれば、理解していただけると思いますが、子どもの問題は複雑であり、魔法のような方法は存在しません。研究所の提供するプログラムは、地道な営みを繰り返しながら進めていくものであり、現場の教師の努力、スキルがあって初めて成功に結びつくものです。
おそらく改善を実感するのに、時間がかかることが予想されます。しかし、効果は着実に現れ、そして一度、そうした変化が現れたなら、その効果は必ず子どもたちの未来を守ることになるのです。
調査ツール
私たち子どもの発達科学研究所では、科学的根拠(エビデンス)に基づいた様々な調査ツールをご用意しています。
児童生徒一人ひとりのこころから、学校全体の健康状態まで、信頼性の高い評価分析結果を提供し、先生方の日々の取り組みを強力にサポートいたします。
いじめ予防や不登校対策の
3ステップ
全てのプログラムは、科学的に正確なアセスメントである(1)評価・調査を始まりとして、その科学的な(2)分析と、その分析結果に基づいた具体的かつ実効性 の高い(3)実践介入の3ステップで構成されています。
- STEP1.評価・調査
- STEP2.分析
- STEP3.実践介入
STEP1. 評価・調査
学校における課題は、子どもの発達だけでなく、学校及び家庭や地域の環境など複合的であり、課題同士が複雑に絡み合っている可能性があります。ここでは、科学的に信頼性妥当性が担保されている調査を複数使うことにより、多角的に状況を把握します。

STEP2. 導入
評価・調査の結果をそのまま数値で見たとしても、それが何を意味するのか、よくわからないものです。ここでは、研究に基づいて、数値を統計学的に解析し、問題のリスクの所在や状況についてわかりやすく提示します。

STEP3. 実践介入
問題の解決には、具体的な介入が必須です。分析結果に基づき、教育現場で実施可能な具体的かつ実効性の高い介入プログラムを提案します。科学的に正しい方法は、効果が約束された方法です。この効果について、「STEP01評価・調査」により評価し、PDCA(Plan-Do-Check-Action」サイクルを実現します。

学校支援プログラムや調査ツールに関するご相談はお気軽にご連絡ください。
導入を相談したい吹田市教育委員会との連携
吹田市教育委員会は、2019年度後半より弊所とともに「いじめ予防推進事業」を推進しています。具体的には、2019年度後半は、翌年からのいじめ予防を行うために必要な専門家トレーニングの実施、2020年度からは、研究所のいじめ予防プログラムTRIPLE-CHANGEの導入(全ての学校、教室に、弊所の提供するいじめ予防授業を年間3時間実施)、2021年度と2022年度は、文部科学省委託事業として、動画コンテンツ「ともだちづくり・かかわりづくりプログラム」の展開、こころとからだの連絡帳「デイケン」の導入と研究などを行っています。
科学の重視
吹田市教育委員会の取り組みの中で、一貫しているのは、科学的であろうとする姿勢です。2020年度から、学校風土調査、NiCoLi、デイケンを次々に導入し、そうした調査結果を活かしながら学校における実践を進めてきました。こうした取り組みの結果は、学校風土の向上やいじめ被害率の低下、新規不登校発生率の抑制など、少しずつ、しかし確実に現れてきています。
いじめ予防プログラムTRIPLE-CHANGEの導入
2020年度から、吹田市の全小中学校の全ての教室で、年間3時間のいじめ予防授業が取り組まれています。この授業は、いじめに関する科学的な研究の成果に基づいて開発されていて、正しい知識を知ることによるCognitive Change(認知の変化)、いじめ被害に遭ったりいじめを見たりしたときの正しい行動を知ることによるBehavior Change(行動の変化)、いじめが起きにくい集団を作ることを知ることによるClimate Change(学校風土の変化)の3つの変化を引き起こすことを目的にしています。
動画コンテンツ「ともだちづくり・かかわりづくりプログラム」の展開
2021年度の文部科学省委託事業では、いじめ被害者支援といじめ加害者指導を中心に、全ての子どもたちのこころやコミュニケーションスキルの育ちを支えることを目的に、動画コンテンツ「ともだちづくり・かかわりづくりプログラム」を開発し、様々な指導への活用を行いました。内容は、「いじめって何」や「いじめられる自分が悪いの?」などいじめにかかわることから、「勇気を出して、助けを求めよう」「間違いを認めて謝る」など、良い行動を明確に示す内容まで様々であり、文部科学省のHPで無料公開されています。全国の学校現場からも、子どもの発達支援に有効であるとの評価を多数いただいています。


動画コンテンツの一例
こころとからだの連絡帳、デイケンの導入と研究
2022年度の文部科学省委託事業では、いじめだけでなく、不登校のリスクの軽減やその他のメンタルヘルスの問題を予防することを目的に、こころとからだの連絡帳「デイケン」の導入を行いました。このデイケンは、学校現場で毎朝行われていた「朝の健康観察」をデジタル化するという意味だけでなく、気持ちの変化や援助要請(先生に相談を求める)の仕組みが付け加えられています。デイケンで得られたデータは、単なるその日の記録として扱うのではなく、それまでの連続データとして、児童生徒のリスク判定を行うという画期的な仕組みとなっています。また、ここで得られたデータと一人一人の児童生徒の出欠席やメンタルヘルス、学校風土との関連について解析、研究を進め、子どもたちの様々なリスクを検出する精度を高めていく可能性が高いと考えられます。そして、これらの研究により、デイケンはさらにヴァージョンアップされていくことになります。
現場と研究が協働することの可能性
学校が子どもの発達に与える影響は、非常に大きなものです。学校環境、教師の行動、教育活動の質が、子どもたちの将来を左右すると言っても過言ではありません。 ところが、日本の教育現場には、まだまだ科学が足りていません。学校は様々な制約や保守的な考えから、研究を受け入れることが難しく、研究者の側も学校現場に対するアプローチができなかったり、学校現場で行われていることが掴みきれなかったり学校が必要としているエビデンスを用意できなかったりする状況にあります。 吹田市教育委員会と研究所の連携は、そうした日本の科学と教育の関係について、新たな状況を作るものです。学校現場と研究の共同は、子どもたちの未来を明るくするものになると確信しています。