自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障がい、特定不能の広汎性発達障がい、アスペルガー症候群(アスペルガー障がい)を、まとめて自閉症スペクトラム障がい(ASD:Autism
Spectum Disorder)と言います。
自閉症スペクトラム障がい(ASD)の特徴は以下の通りです。
・ 人への反応やかかわりの乏しさ、社会的関係形成の困難さ
親はもちろん、身近な人たちとの交流が苦手です。子ども同士で遊んだり、親からの働きかけにうまく反応できなかったりします。視線が合わない、笑顔を交わし合うことができない、などの特徴があります。言葉の遅れがあったり、言葉の使い方が普通と違ったり(年齢から考えて難しい言葉を好む、コマーシャルの言葉などをすぐに覚えて繰り返す)することがあります。
・ 興味や関心が狭く、特定のものにこだわること
通常とは違った遊び方をすることが多いです。例えば特定のものを手放さない、おもちゃを期待される使い方以外で遊ぶ(例えば、ミニカーを走らせないで、ただ並べて遊ぶ)、見立て遊びが難しいなどです。扉の蝶番、車のタイヤなど、限られた物にばかり興味を持つこともあります。
こうしたこだわりは、遊びだけに留まらず、着る物(いつも同じ色の服しか着ない)、食べ物(偏食が激しい)、道(いつも同じ道を通りたがる)、予定(いつも同じ順番で日課をこなす)等のあらわれとなります。
これらのこだわりを無理にやめさせると、泣いたり叫んだり、激しく暴れたりして、いわゆるパニックを起こすことがあります。
こうしたことに加えて、感覚の過敏さや鈍感さ(痛みを感じやすい、逆に鈍感で感じにくい)、感情コントロールの難しさ(パニックを起こす、泣き叫ぶ、あるいは感情の起伏が少ない)、行動コントロールの難しさ(動きが激しい、衝動性が高い)、睡眠障害(よく眠れない、または眠ってもすぐに起きてしまう)などの特徴を示すことがあります。
自閉症スペクトラム障がいについて、M-Chat(乳幼児自閉症チェックリスト)を用いることで、傾向を把握することができます。また自閉症スペクトラム障がいの子どもの中には、てんかん、注意欠如・多動性障がい(後述)、学習障がい(LD)を併せ持つことも少なくありません。
・ 我が子が自閉症スペクトラム障がい(ASD)かもしれないと思ったら
自閉症スペクトラム障がいの疑いがあるからといって、悲観する必要はありません。また母親(保護者)が責任を感じたり逆に周りが母親の子育てが不十分であると責めたりすることは全く意味のないことです。(自閉症スペクトラム障がいは、脳の機能障がいです)また、自閉症スペクトラム障がいを理解せずに、無理に訓練をさせたり叱りつけたりすることは、お子さんにとって意味がないことであると同時に、場合によっては悪い影響が出ることがあります。
自閉症スペクトラム障がいであろうとなかろうと、かわいい我が子であることにはかわりありません。また、我が子の将来の幸せを考えることも、我が子にあった子育て(教育)を求めるべきであることも、かわりありません。また自閉症スペクトラム障がいに限らず、こうした特性は早く見つけ、早く対応することが大切です。(早期発見早期支援の原則)
よって疑いがあると思ったら、なるべく早く専門家に相談をすることを勧めます。
・ 自閉症スペクトラム障がい(ASD)の理解と支援
自閉症スペクトラム障がいの子どもといってもそのあらわれは様々です。1人1人を理解し、1人1人に合った支援をすることが大切です。そのためにも、そうした子どもの発達に詳しい専門家に相談することが大切です。
自閉症スペクトラム障がいの子どもに対応した療育機関もありますし、保健師も相談に乗ってくださいますので、早めの相談を心がけてください。なお就学(小学校の入学等)に関する相談は教育委員会で行っています。