「や・は・た」が大切な理由

1 初期対応が重要

 いじめ防止対策推進法が施行されて、いじめ対策が進んでいます。しかし、文部科学省の報告によると、いじめの認知件数は増えるばかりです。
 このことについて、いじめの認知件数の増加は、教師による対応が進んだこと、という風に前向きに捉える声もありますが、いじめが起こっていることは事実であり、未だ対策が十分でないことを意味します。
 こうした状況に対して、私たちは「いじめが起こらない状況」もしくは「いじめが起こってもすぐに解決できる状況」を作ることが大切であると考えています。
 いじめの初期段階(被害者が、最初に苦痛を感じたとき)において、いじめの被害者や目撃者が正しい行動を取ることが、いじめの早期解決に大きな力を発揮することは、既に研究によって明らかになっています。また「いじめかもしれない出来事を受けたときの初期対応」を知ることは、子どもたちの問題解決スキルを高めることにもつながります。


2 「や・は・た」には意味がある

 いじめかもしれない出来事が起きたとき、その被害者や目撃者がどのような行動を取ればいいのでしょうか?
 このことについても、既にいくつかの研究があり、私たちはその中から3つの行動を取り上げることにしました。そして、それぞれの行動を子どもたちにわかりやすく伝え、いつでも使えるようにするために、「や・は・た」という合い言葉を設定しました。
 以下に「や・は・た」の一つ一つについて説明します。

めて」を言う


 加害者が被害者に対して、何らかの行動をして、被害者が苦痛(精神的な苦痛を含む)を感じたとき、それを「やめて欲しい」と思っていることを冷静に伝えることが大切です。
 なぜなら加害者の多くがシンキング・エラー(間違った考え)を起こし、「このくらいは遊びだ」「許される行為だ」と考えているからです。
 「やめて欲しい」、「嫌だと思っている」、「(そういう行動をされると)辛い、傷つく」ことを相手に伝えることによって、加害者が自らの行動を振り返る機会を与えます。
 ただ、こうしたことを感情的に言ったり相手を責めたりしては逆効果です。相手の言動が続いているとき、相手が多人数のときも逆効果の場合が多いです。必ず言わなければならないわけではないことに注意してください。

その場を「なれる」


 被害者が、加害者の行動に対して何らかの苦痛(精神的な苦痛を含む)を感じたときは、一刻も早くその場から離れ、安全な環境に移動することが大切です。
なぜなら、その場にいることが加害者を刺激し、いじめ行動をエスカレートさせたり仲間を増やしたりしてしまうことがあるからです。被害者(目撃者も)は、決して感情的になることなく、その場から速やかに離れることが重要です。また、同じ状況にならないように、そのような危険な場所には近寄らないことも大切です。

  

すけ」を求める


 被害者は、加害者の行動によって心身の苦痛を受けたとき、信頼できる大人に「たすけ」を求めることが大切です。
これまでの研究で、被害者は自分から助けを求めることができにくい、ということが分かっています。「助けを求めることを意味がない」、「恥ずかしいことだ」と考えていたり、そもそも助けをも求めることができない孤立した状況に置かれていたりするからです。
  しかし、だからこそ、被害者が「たすけ」を求めることの大切さを教えるべきです。できれば複数の大人に対して、あきらめずに自分が受けた被害を具体的に伝えるように促しましょう。また、助けの求め方(いつ、誰が、どこで、何をして、どのような被害を受けたのか。周りで見ていたのは誰か、など)についても、あらかじめ教えておくことが大切です。
もちろん「たすけ」を求められた大人が正しい対応をしなければなりません。

まわりで見ている子ども達

 被害者が「やはた」行動をとることは大変重要ですが、一方で被害を受けている子どものすべてが、正しい「やはた」行動をとれるとは限りません。
 これまでの研究で、いじめの初期対応で最も重要な役目を持つのは、まわりで見ている子ども達であることが分かっています。
 いじめかもしれない、という行動を見聞きした時に、正しい対応行動「や:被害者の代わりに『やめて』と加害者に伝える」、「は:被害者と共にその場をはなれる」、「た:被害者の代わりにたすけを求める」を、まわりの子ども達がとることができるようにすることが、特に重要です。


3 「やはた」の使い方

 「やはた」ポスターを掲示するだけでは効果は期待できません。まずは大人が、いじめ被害を受けたとき、いじめを目撃した時の正しい対応行動について理解し、子どもたちに具体的に教えることが大切です。(教え方については、弊所の指導者向けいじめ予防プログラムTRIPLE-CHANGEを受講してください)
そして、子どもたちがこの「やはた」ポスターの通りに正しい行動をとれたら、それをしっかりと評価することが大切です。
「やはた」は合い言葉です。子どもたちが必要なときにすぐこの正しい行動を思い出し実行できるように、何度も確認していくことが良いでしょう。


yahata1    yahata2


「やはた」ポスターの購入をご希望の方はこちらからお願いいたします。


4 私たちについて

 私たち公益社団法人子どもの発達科学研究所は、子どもの健やかな発達を支えるため様々な事業を行っています。いじめ防止の取り組みとしては、指導者向けいじめ予防プログラムTRIPLE-CHANGEBE A HEROプロジェクトを行っています。詳しくは、本HPを御覧ください。

triple-change_triplepage       be_a_hero_triplepage


お問い合わせ・ご相談は・・・

お問い合わせフォーム

またはお近くの研究所へ [本部] Tel 06-6341-5545 / [浜松] Tel 053-456-057